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【R18】夏だ!花火だ!夏祭りだ!

第4章 夏祭り ※




夜が明ければ、遊女は家路へ着く客を見送る。
それは高尾太夫も例外ではない。

情事のあとの気だるさを残しながら、朝焼けの中にエルヴィンを見送る。
すると、遊郭の門の裏から突然、痩せた若造が飛び出してきた。

「ハヅキ花魁!」

白粉は崩れ、紅も落ちていたが、その美しさは変わらない。
そんなハヅキに会うため、一晩中ここに隠れていた若造は銭の入った袋を差し出してきた。

「俺は貴女様を一目見たくて私財を投げ打ってきました」

「・・・・・・・・・・・・・・」

男衆が追い払おうとしたのを制止し、ハヅキは懇願する若造を静かに見据える。


「貴女様の揚代を出す金はありません。ですがどうか・・・どうか、天賦の才に溢れる貴女様の芸を、この目に焼き付けてぇ」


見れば、その若造の顔には黄疸が出ていた。
もう先の長くない身なのだろう。
今生の最期に、願いを叶いたくてここまで来たのか。

しかし、握りしめている銭は、ハヅキの揚代には遠く及ばない。
男衆に門前払いされても仕方が無いだろう。
金のことに関しては、自分に一切の権限は無かった。

花魁だというのに、この憐れな男の夢すら叶えることができないのか・・・


「・・・・・・・・・・・・・・・・・・」

言葉を交わすことも許されず、悔しそうにハヅキが唇を噛んだ時だった。
それまで黙ってエルヴィンの後ろにいた黒髪が口を開く。


「おい・・・これを使え」


ハヅキはその時、初めてこの黒髪の異人が日本語を話すのを聞いた。
エルヴィンとしか会話する姿を見たことが無かったし、その時も母国の言葉を使っていた。

若造に至っては、おそらく初めて異人を見るのだろう。
まるで鬼でも見るかのように怯えている。
しかし、黒髪はお構いなしに近づくと、若造の手に1両を置いた。


「これだけあれば、今からでも少しは時間を買える。受け取れ」


少しどころか、じゅうぶんな金だ。
これだけの額を懐に忍ばせておくとは、ただの付き人ではないのか。

「旦那様・・・ようおすか?」

「ああ。あの青年に夢を見させてやりなさい」

エルヴィンも微笑みながら頷く。
すると、若造は濁りつつある瞳に涙を浮かべた。




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