過去と、今と、未来の狭間で【進撃の巨人 エルヴィン 前編】
第32章 メデューサの微笑?
「何があったか、説明しろ」
「・・・・・悪巫山戯で口説きながら笑いかけたら、
私の笑顔が恐過ぎたらしく失神してしまった」
「・・・・・・・・・・・・・は?」
医務室で二人をベッドに横たえさせると、
ミケが二人が失神した原因を聞いてきたので
ナナシは正直に答えた。
手で顔を覆い隠しているナナシの様子から
本気で凹んでいるのだというのは伝わってくるが、
意味がわからずミケは首を傾げ「どういう事だ?」と補足を促す。
「昔から・・・私が本気で笑顔を向けると恐怖の余り、
大抵の人間は気絶してしまうのだ。
愛する男からも『自分以外に笑いかけてはいけない』と
言われていたが、未だにそれが直っておらぬとは思わなんだ」
一体どんなメデューサだ。
・・・石化しないだけマシだが。
いや、それよりも・・・
「おまえ笑えたのか・・・・」
ミケの疑問は尤もだった。
滅多に表情も崩さないので、
ナナシが笑っている姿は想像し辛かった。
それはリヴァイにも言えるが、
ミケの中では無愛想の種類が違う。
何事にも動揺しない性格で表情が動かないリヴァイに対し、
ナナシの場合は内面では動揺しているが表情筋が
物理的に動かないだけのような気がするのだ。